沢登りの用語
最小化

右岸・左岸 沢の上流から下流に向かって右を右岸、左を左岸という。

 英語のFallの略で、滝のこと。F1はその沢の一番目の滝のことを示す。上流に向って2,3となる。

釜(かま) 水の落下によってできた滝つぼのこと。

 河原 川幅の広がったところで、小さな石が敷きつめられたようになっている場所をいう。

ゴーロ 人間の大きさ以上の岩が積み重なっているところをいう。

ゴルジュ 両岸から岸壁が迫り、中に滝や釜を持っている場所をいうことが多い。のどの意味。

滑(なめ) ゆるやかな傾斜をもつ岩盤の上を水が流れている場所をいう。

廊下(ろうか) ゴルジュ状の地形がある程度長く連なっているところをいう。

へつり 岩場や淵を水平又は斜めに横切ること。

            
 
 
略図記号一覧
最小化

略図記号一覧

            
 
 

目次



参考文献
最小化


防長風土注進案 (1983年)


山口県風土誌〈第1巻〉(1972年)


山口県風土誌〈第5巻〉(1972年)


山口県風土誌〈第9巻〉 (1973年)


◆岩国市史

防長風土記 (1957年)


玖珂郡志 (1975年)


◆日本の滝 上・下 土屋書店・渡辺晃一

防長百山 (1977年)


◆やきもの風土記 マツノ書店・神崎宜武

◆長門周防の伝説 第一法規・松岡利夫

山口県地名考 (1978年)


◆西日本の山釣 釣りの友社・山本素石

◆日曜の地学 山口地学会

沢登りの勧め―渓谷美を楽しむ知識と技術 (1978年)


◆日本の地形 岩波新書・貝塚爽平

◆その他

            
 
 
関連サイト
最小化

 Cray's Whisper

VACCO HOSTING SERVICE

Browntongue

LLP en

玖珂隕石に光をあてよう

防長四十八滝

防長四十八渓

            
 
 
はじめに
最小化

渓流を探してみようと思いはじめたのは10年ばかり前のことだった。瀬音と緑陰、それに水の清澄さに心のやすらぎを覚えるようになり、近郊の渓谷をすべてたずねてみようと思いたった。しかし、既知のものが極めて少ないことを思い知ることにもなった。その当時、一般的地図と耳知識から得られる情報では、五指を越えなかった。しからば他に美渓があるのかどうかを自分で確かめようというのが動機であった。

自分で渓流のカタログを作ることの第一歩は、五万分の一の地図上にある山峡部の川をとにかくのぞいてみることから始まった。こうして平凡に毛が生えた程の渓流をいくつかみつけたが、それでも私にとっては、けっこう大発見であった。

いきあたりばったりのささやかな発見行為を続けているうちに、地図上からの読みとりの確度を高めるコツがつかめてきた。

  1. 500メートル以上の山を背景にしていること。
  2. 10分の1以上の勾配のあること。
  3. 逆フライパン状地形(円形集水域と長い山峡部の流出路)が望ましい
  4. 数平方㎞以上の集水域を有すること。
  5. なるべく山塊のきた斜面側に収まっていること。

などがそれで、こんな条件のいくつかを具えているところを実地踏査して確かめるという手順ができあがった。

実際には5つの条件を全て備えているのに期待を裏切られたこともある。また一つか二つしか満たしていないのに予期以上だったこともある。

次に渓谷美の観点について言及したい。昔の渓谷美観は中国の山水画や南画の延長線上にあった。雪舟の作品に見られるように、川や水よりも急崖や松の方に重点が置かれている。たとえば邪馬渓を世に広めた頼山陽に代表されよう。

樹相についても、伝統観が、松を第一とし、落葉樹や照葉樹に価値を認めなかったであろうことは、雑木林の名称からも推定される。明治以降西洋の自然主義文学の影響を受けて、日本人も雑木林の美を理解するようになった。

そこで現代の渓谷美観は、大陸から移植されたものと西洋から持ち込まれたものとの、二つの基準からできあがっているものと思う。だが近年、沢登りという日本固有の登山形態が生まれ育って、第三の価値基準が加わりつつあるように思う。

登山には伝統型の尾根筋登山と、ヨーロッパから移入されたロッククライミングの二形態があった。大正に入って冠松次郎が黒部渓谷を手始めに、沢登りを一つのジャンルとして確立してから、昨今かなりの広がりを見せている。

沢登りという新形態が日本で生まれたのには、それなりの必然性があった。2000メートル以上の山を除いて、普通の山は山頂まで藪に覆われていて、登山道以外の自由な登頂を許さない。それが可能な裸の部分は沢しかない。そしてわが国では渓谷がふんだんにあり、雨量に恵まれて沢床が美しく、変化に富んでいる。活動に適した気温下にあり、樹林・岩・水の三要素の調和した幽玄性は外国では求め難いものであろう。

沢登りのもつ魅力の要素には、水の美しさや植生の豊かさの他に、原始へのあこがれも加わっていよう。尾根や岩場では人と会う機会が多く、人工物も多い。その点、沢には原始の雰囲気がいっぱいである。

これまで大小とりまぜて100余の渓流を収録したが、このうち、自分なりに納得するもの約30と、やや選択に迷うもの10余を併せて48渓とした。その紹介順は内容の良否によるつもりで、その順列は全く私の独断と偏見によるものである。

無名の足谷峡を上位に抜擢したことなど、諸々の批判があるであろうことは予期している。

なお、私の居住地が県東部に偏在しているので県西部や、阿武・萩地区に対して手薄になりやすく、調査漏れもあるやに思う。

48選に漏れた渓流については巻末の一覧表を御覧いただきたい。この中には48渓も含めて、各渓谷の所在とその特徴を一口概況として記載した。

また、文中しばしば、世間で通用しない特殊用語を用いたが、これも巻末に<沢登り用語>と題して簡単な説明を加えたつもりである。なお、48渓は、一昨年出版した『防長四十八滝』に登場させたものと重複しないものを紹介すべく努めたが、思いどおりにならなかったことを御容赦願いたい。

最後に山口県の渓谷を他県のそれと対比させた場合、その水準や特徴はどうであろうか。思いつくままに触れてみたい。昭和10年出版の『全国峡谷景観』(塚田 忠泰)の書の中に挙げられた112の渓谷の中には、長門峡と石柱渓が収録されている。その巻頭の数個の写真に、長門峡のものがあったから、それなりの評価を得ていたのであろう。

他県の渓谷で私が実地に臨んだものは10余である。だから比較してうんぬんするのは越権だが、本県の分布密度や質は平均以上ではないかとの気がする。

山口県は高山の乏しい地であるが、その割には渓谷に恵まれているように思う。その原因として隆起が進行中の西中国山地の一部が含まれていることもあろう。だが、もっと大きな要因として、河川争奪のからむ流路変更や水量増加があるように思う。これが山口県だけの特殊性なのかどうかを論ずることは、私の能力以上のことである。